Eclip’s blog

真の国際化をめざして・・・世界における日本の競馬

分岐路にさしかかった香港競馬

日本で存在感を増す香港競馬

近年、香港競馬の国際競走には日本馬のエントリーが常態化し、JRAで馬券も売られるようになりました。そのため、日本での存在感が増している香港競馬ですが、実は日本とは全く異なった形態の競馬が行われています。

全ての競走馬を輸入

まず、香港では競走馬の生産が行われていません。地理的条件を考えれば当然のことですが主にオーストラリア、ニュージーランドなどからサラブレッドを輸入しています。

以下の出馬表の抜粋は2019年に行われた香港GIレース「チェアマンズスプリントプライズ」(芝1200m)のものです。

 

馬番 馬名 調教国 生産国
1 サンタアナレーン AUS AUS
2 ミスタースタニング HK AUS
3 ビートザクロック HK AUS
4 リトルジャイアン HK NZ
5 ラタン HK NZ
6 エンゾーズラド NZ AUS
7 ウィナーズウェイ HK AUS
8 ピンウースパーク HK NZ
9 ビドラ AUS AUS
10 ナックビーナス JPN JPN

 

 出走馬の生産国の内訳はオーストラリア(AUS)が6頭、ニュージーランド(NZ)が3頭、日本が1頭となっており、香港調教馬の生産国はAUSとNZが3頭ずつとなっています。

驚異的な勝馬投票売上金額

香港競馬の勝馬投売上げは、日本、オーストラリアについで世界第3位を誇っています。すべてがパリミューチュエル方式で、ブックメーカーは許可されていません。

以下に各国の勝馬投票売上げとレース数、Gレース数の統計を表にしました。これを見ると香港のGレース比率と売上げをレース数で除算した数字が非常に高いことがわかります。ただし、香港ではサイマルキャストにより他国のレースに賭けることができるため、後者の数字は実際よりも高くなっています。

また、日本はJRAに限ればレース数は最大12x288レースなので3,500弱であり、売り上げの大半がJRAであることを考慮すれば現在の4倍以上の数字になると推定されます。

 

順位 レース数 Gレース総数 Gレース比率 売上げ(百万ユーロ) 売上げ/レース数(万ユーロ)
1 米国 37,628 447 1.2% 9,095 24
2 オーストラリア 19,154 320 1.7% 17,746 93
3 日本 16,407 129 0.8% 24,492 149
4 英国 6,400 159 2.5% 13,056 204
5 フランス 4,954 116 2.3% 9,126 184
6 アイルランド 1,172 72 6.1% 5,210 445
7 香港 807 31 3.8% 13,260 1,643

 

香港のサイマルキャストによる他国競馬場との共同賭事事業は、30年以上前に開始され、筆者も20年前に北米カリフォルニア州のOTB(場外馬券売り場)で米国内の複数の競馬場やオーストラリアとともに香港のレースもリアルタイム実況付きで勝馬投票を買って楽しんだ記憶があります。

曲がり角の香港競馬

2017年までの香港競馬の勝馬投票売上げの年次の推移を表にしました。

 

勝馬投票売上げ(百万ユーロ) 場外売上げ 比率 場内売上げ
2010 7,702 5,057 65.7% 2,645
2011 8,566 5,826 68.0% 2,740
2012 9,347 6,559 70.2% 2,788
2013 9,536 6,953 72.9% 2,583
2014 11,460 8,524 74.4% 2,936
2015 12,579 9,400 74.7% 3,179
2016 14,364 10,965 76.3% 3,399
2017 13,260 10,358 78.1% 2,902

 

 勝馬投票売上げのピークは2016年で2017年は微減となりました。これが中国経済の減速を受けた一時的なものかどうかは2018年の統計が出ないとわかりませんが、確実に言えることは場外売り上げの比率が年々上がってきている、ということです。

外国におけるサイマルキャストのロイヤリティ(通常3%)はほとんどが場外売上げに分類されるので、サイマルキャストが伸びていることがそういった結果を招いていると思われます。

実際、HKJC(香港の競馬統轄機関)の年次レポートによれば海外での23の開催と10の個別レース(JRA大阪杯を含む)が2017年~2018年(香港は7月から年次が始まる)に香港でサイマルキャストされ、受け取ったロイヤリティは55億香港ドル(約760億円)に上り、前年比6.3%増となっています。

JRAは日本開催競馬の海外へのサイマルキャストには消極的ですが、HKJCは今後海外レースの販売を増やしていく方針のようです。インターネットにより、ブックメーカーでの勝馬投票の購入が容易になっている現在、JRAとHKJCの今後の対応が注目されます。